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2021年07月19日

ジュース注意報

子育てコラム

娘2歳 夏のお出かけにて

少しずつ、暑くなってきましたね。
毎年夏になると、一定の割合で血糖が悪くなる患者さんたちがおられます。
原因として多いのは、アイス、すいか(意外と血糖よく上がるんです)、ジュース類、ビール、それからそうめんやざるうどんだけなどの炭水化物に偏った食事が続く、あたりでしょうか。
なかでも特に、ジュース類は要注意。ものすごい高血糖(600mg/dl以上など......ちなみに、正常は100mg/dl前後です)を引き起こすことがあります。

当院でも、毎年数名は清涼飲料水多飲による高血糖、いわゆる「ペットボトル症候群」で緊急入院となっています。ひどい場合は痙攣発作が起きたり、意識が混濁したりして、救急搬送されてくる方もおられます。
話をお聞きすると、前の健診では血糖値は引っ掛からなかったり、要注意程度の軽症だったりという方がほとんどです。夏場、脱水にならないよう水分補給のため、スポーツドリンクや炭酸飲料水を飲んでいるうちに、どんどん喉が渇いて量が増え、一日2L以上になって、気づけば体調が悪くなって、というエピソードが典型的です。
糖入りの飲み物は、がつんと血糖をあげてしまいます。咀嚼する必要なく、急激に吸収されるので、血糖を下げるインスリンの作用が追いつかず、高血糖となってしまうのです。
スポーツドリンク500mlには、ざっくり角砂糖6個分の糖分が入っています。炭酸系の飲料水だと、13~14個分、フルーツジュースも同じく13個前後になります。
こう書くと、結構ぎょっとしませんか?

一緒にペットボトル症候群の患者さんを受け持つことになった研修医に、医局でこの角砂糖話を語って聞かせたところ

「あー、おれ、結構飲んじゃってますよ。コーラとか」
「え、そうなん。まだ若いから大丈夫やろうけど、この前、二十代のペットボトル症候群もいたからねぇ。気をつけや」
「そうなんすねー。怖いなぁ」
「習慣になってると危ないんよ。食事の時の飲み物にジュースとか。小さいうちから、基本飲ませないようにしとかんとね。うちはそうしてる」
「え、先生、お子さんたちにジュース飲ませてないんですか」
「当然」
「きっびしー」
「我が家は基本、ジュース禁!」

なんて会話で盛り上がっていると、隣で電子カルテを開いていた耳鼻科の先生に爆笑されてしまい、あわてて、
「いや、お出かけのときとか、お誕生日会のときとかは解禁してますよ?」
などとつけたしたのでした。

ま、この会話からもお察しの通り、これほどジュースに神経質になってるのは糖尿病内科医くらいなんでしょうけれど、ジュース類はお楽しみとして、ほどほどに、をお勧めいたします。

当院の診察室で配っているリーフレット

大澤彩恵子(おおさわさえこ)

大阪回生病院糖尿病内分泌内科医長。糖尿病を中心とした生活習慣病の治療に従事。糖尿病学会認定専門医、指導医。総合内科専門医。医学博士。
料理も食べるのも大好きな、小学生・幼稚園児二児の母。

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