2021年11月01日
気になる健康づくり〈後編〉 〜 STOP!糖尿病 〜

前回は、みなさんからいただいた健康づくりに関わるお声をもとに、健康診断結果を見るポイントから、糖尿病にスポットをあてて、社会医療法人同仁会 耳原鳳クリニック 健康サポートセンター等(糖尿病専門医・管理栄養士・健康運動指導士)の方々にお聞きしました。

● 目次
● 糖尿病の治療

さっそくなのですが糖尿病の治療についてお聞きしてもいいでしょうか?
糖尿病は血管の病気です。血糖値が高い状態が長く続くと、やがて全身の血管が傷んで様々な血管の病気(合併症)を引き起こします。血管病(合併症)には、細い血管がもろくなって生じる「最少血管症」と太い血管が硬く狭くなることで生じる「大血管症」があります。
糖尿病の代表的な血管病(合併症)を覚える言葉に
それぞれの病気の頭文字をとって、語呂合わせで、「しめじ」と「えのき」があります。
糖尿病の治療は、1に運動、2に食事、しっかり禁煙最後に薬です。(※病状によっては最初に薬の場合もあります。)無症状でも、定期的に受診し検査することが重要です。
<糖尿病の3大合併症>
最少血管症 | |
---|---|
し | 神経障害(足のしびれや痛み) |
め | 眼(糖尿病性網膜症) |
じ | 腎臓病(糖尿病性腎症) |
大血管症 | |
---|---|
え | 壊疽(組織が死んでしまう病気) |
の | 脳(脳梗塞) |
き | 狭心症(心筋梗塞) |

糖尿病は、まずは予防が大切です。生活習慣病予防も含め基本は体重をコントロールすることです。そのためには、摂取カロリー(食事量)より消費カロリー(運動量)を、同等か上回ることがポイントです。

食事でのカロリーは気にするようにしていましたけど、消費カロリーが上回るようにするには、どうすればいいんでしょうか?
● 運動について
2020年は、新型コロナ感染症が発生し、私たちの生活は一変しました。外出の自粛により身体活動の機会が減少した結果、体重の増加や筋力低下、ストレス増大等を訴える人が増えてきました。
厚労省は、健康のための運動は、感染対策をしっかり行って「1日60分、連続して行わなくてもよいので、元気に身体を動かすこと」を推奨しています。まずは、今より10分多く体を動かす「+10(プラステン)」を推奨しています。
例えば、体重60kgの人が1分間に80mの速さで30分歩いた場合のエネルギー消費量は
3.5(強度)×30分(運動時間)÷60=1.75(運動量)
1.75(運動量)×体重60kg=105kcal
ショートケーキ1個が約300Kcalですから、90分の歩行運動が必要ということになります。
歩行の速さの目安 | 強度 |
---|---|
散歩平地(67m/分) | 3 |
歩行(75~85m/分) | 3.5 |
やや速歩(93m/分) | 4.3 |
※強度単位:Mets(メッツ)

そんなにですか...。
● 食事について
食事療法と聞くと、食事制限やカロリー計算など、ハードルが高くなり長続きしない方が多くいます。基本は、何を食べても構いませんが、食べた分をしっかり動いて消費できるかが重要です。人間は生きていくために、心臓を動かし、呼吸をし、体温を一定に保ったり、脳を働かせたり、24時間365日動き続けています。これらに使うエネルギーのことを基礎代謝と言い、年齢や性別で多少の前後はありますが、成人では1分間に約1kcal使うので、1日は1440分ですから約1440kcal使うことになります。生命を維持するためには、絶対に摂取しなければいけないエネルギー量です。何かを極端に摂ったり、減らしたりするのではなく、適切なカロリーコントロールとバランスよくしっかり食べて必要な栄養を摂ることが重要です。

"バランス良く食べることは大事"ってよく耳にはするんですけど、どういうことを意識していけばいいんでしょうか?
● 食事の基本について
糖尿病を防ぐ食事の基本は、適切なエネルギー量と栄養バランスの良い食事をとることです。ポイントはいくつかありますが、今回は「腹8分目を心掛け、しっかりとよく噛んで食べること」と「野菜から先に食べること」についてご紹介したいと思います。カレーライスやパスタ、ラーメンなどあまり噛まなくても食べられてしまう食事では、ついつい食べ過ぎ、お腹いっぱい食べてしまった経験が、あるのではないでしょうか?雑穀が入ったご飯や玄米、食べ応えのある骨付き肉の料理、骨のある魚料理などはしっかりとよく噛んで食べることにつながり、腹8分目を意識しやすくなります。また、しっかりとよく噛んで食べると舌全体で味を感じることができ、味付けが多少薄くてもおいしく食べられます。塩分の摂取を控えたい方にもおすすめの食べ方です。
「野菜から先に食べること」でも食べ過ぎを防げます。食物繊維を多く含む野菜類は比較的低カロリーで、空腹感を満たしてくれます。また、腸からの炭水化物の吸収を遅らせることで血糖値の急上昇を穏やかにしたり、余分なコレステロールや中性脂肪を低くしてくれる働きもあります。野菜はどの年代でも不足しがちな食品です。目標は、1日で350g。1食あたりにすると生野菜で両手にいっぱい、温野菜では片手にいっぱいの量になります。夕食にまとめて食べるよりは毎食意識をして食べることが大切です。

これをきっかけに、生活習慣について、特に食事や運動を見直してみたいと思います。
11月14日(日)は「世界糖尿病デー」です。この機会に生活習慣を見直してみましょう。糖尿病が気になる方、運動療法、食事療法、薬物療法等について、専門的な情報を得たい方は、インターネット等で、糖尿病専門医、健康運動指導士や管理栄養士、療養指導士等の専門家がそろっている糖尿病の専門外来を検索し受診してください。
また、詳しい情報は「糖尿病ネットワーク」もご参考にしてみてくだい。
今回の記事は、社会医療法人同仁会 耳原鳳クリニック
健康サポートセンター等(糖尿病専門医・管理栄養士・健康運動指導士)の方々にお話をうかがい、ご協力いただきました。

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1分間に1カロリー 1日1440分 1440カロリー 勉強になりました