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2020年12月21日

「えいよう博士といずみちゃんの知っ得栄養学」特別講義

登場人物

えいよう博士
栄養学の博士

いずみちゃん
大学入学と同時に1人暮らしを始めた大学1年生の女子大生

● 反省するいずみちゃん「体内時計」編

博士、おはようございます。
いずみちゃん、おはよう。
あれ、今日はなんだかちょっと元気がないね。
さっき授業中も時々船をこいでいたね?
船をこぐ??
ここのところ、なんだかいつも眠たくて、朝、ギリギリまで寝ているので、朝ごはん食べる時間もなくて、今日も朝ごはん食べられませんでした。
それは、ちょっと問題だね。
昨晩は何時に寝て、今朝何時に起きたのかな?
寝たのは1時半過ぎです。
今朝は7時半に起きました。
目覚ましを7時にかけていたのに止めてまた寝てしまい、危うく遅刻するところでした。
すみません。今朝の博士の授業、記憶にありません。
私のためになる授業が記憶にないなんて、それはもったいないことをしたね。
毎日、そんな感じの生活かな?
このところ、レポート課題も多くて、それに寝る前は、ついつい動画も視てしまうし、友達とSNSでやり取りもあるし...。
みんなそんな遅くまで起きているの!?
私は、毎晩11時には寝ているよ。
ただ、歳を取ってくると朝は5時過ぎには目覚めてしまうけどね。
なんだ、では博士も私と同じ6時間睡眠ではないですか?
博士は眠くないのですか?
そうだね~。さすがに講義をしながら居眠りはできないからね。
でも、実は、いずみちゃんと私の睡眠時間は、同じ6時間でも大きな違いがあるのだよ。
大きな違い?
いずみちゃんは、「体内時計」って聞いたことがあるかな?
体内時計?
体内に時計があるのですか?
どういう意味ですか?
実は、人は、1日周期でリズムを刻む体内時計を持って誕生しているんだ。朝目覚めて、日中は身体も心も活動状態となり、夜間は休息状態にと切り替わるリズムを刻んでいるのが体内時計というのだよ。
他にも体温や血圧、睡眠やエネルギー代謝、その日の気分や体調、スポーツ活動など、たくさんの身体活動にかかわっているんだよ。
このリズムは、わたしたち細胞内の時計遺伝子によりコントロールされていて、いわば、健康管理の司令塔の役割を果たしているのだよ。
体内時計を時計遺伝子がコントロールしているって、なんか神秘的ですね。
そうだね。
実は、体内時計には、常に生活環境の変化に適応するためにいくつかの種類があるのだよ。

さまざまな体内時計

出典:『時間栄養学』,香川靖雄,女子栄養大学出版p76

例えば、季節や時間に応じて、体温を調整するための生体リズムがあることが分かっていて、生活環境の変化に素早く対応して、体温や健康・栄養管理、病気の予防や治療にも応用されているんだよ。

出典:朝日新聞デジタル2017年10月14日

スゴ~イですね。
私たちの身体の中で、そんなすごいことが起きているんですね。
そうなんだよ。
この体内時計や次回講義の時に説明するけど、「時間栄養学」の研究がすすむことで、いかに生活リズムが健康と心身の活動に重要かが解明されてきたんだよ。

ところで、いずみちゃん、「早寝早起き朝ごはん」という言葉は、聞いたことあるよね?
ドキッ!!
はい、知っています。小学校の時の食育の時間に教えてもらいました。
今の私は...、「遅寝遅起き朝ごはん欠食」ですね。
最も基本的な生体リズムの日周リズムは、実は、1日24時間より少し長く設定されていて、20歳台では25時間位あるんだよ。ちなみに60歳でやっと24時間になるのだよ。
えっ?! 1日が25時間ですか?
生体リズムは25時間なので、これを1日24時間の周期に調整するために、光と食事の刺激で体内時計を日々リセットしていく必要があるんだよ。
朝は、朝の光を受けて「朝になった」と認識すると、リセットされて時計がすすみ始め、臓器などにある体内時計は、朝食によって動き出すことが分かってきたんだよ。

実は、体内時計は脳だけでなく、様々な臓器や組織すべてで機能していることが判明して、脳に主(親)時計があり、同時に内臓や血液などの末梢組織には、それぞれ個別に動く副(子)時計が機能しているんだ。

主時計が"世界標準時刻時計"とすると、たくさんの数の"ローカル時間"(副時計)が体中にあるので、この体内副時計の針が狂うと、睡眠障害、うつ病、肥満、糖尿病などの代謝障害や、免疫・アレルギー疾患、さらにがんの発症にもつながることが分かってきたんだよ。
こんな風に、体内のあちらこちらで、時差ボケが起きている状態になるんだよ。
時差ボケですか?
脳も身体も大混乱ですね~。
体内時計がとっても大事という事が分かりました。
いずみちゃんのように、「遅寝遅起き朝ごはん欠食」を続けていると、副時計は後ろに数時間ずれて活動リズムを刻み、臓器などの末梢組織がバラバラに動き、体の中で時差ぼけが起きている状態になるんだ。オーケストラで例えるなら、主時計の指揮者は正確なリズムでタクトを振っているのに、副時計の奏者が勝手に演奏して全体のハーモニーがバラバラになっていく状態だね。体内時計が不調になると、体調不良や病気を招くことになるんだ。
だから体内時計をきちんとリセットさせるために「いつ食べるか」がとても大切なんだよ。
体内時計の大切さが、とてもよく分かりました。
私の体内時計が時差ボケしないように、もう少し規則正しい生活を送ります。

森美奈子プロフィール

摂南大学 農学部 食品栄養学科 専任講師 / 管理栄養士
専門は栄養教育、人々に栄養のことを分かりやすく楽しく伝える方法を日夜研究中です。

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コンテンツへのコメント

  • 2020年12月25日 10:34
  • ころまま

体内時計のことがよく分かるお話でした。

  • 2020年12月22日 10:58
  • ワン☆ニャン

孫二人が急にひどいアレルギーが出て来たので、体内時計も色々あることを教えて食生活と睡眠を見直す様に話したいと思います。

  • 2020年12月21日 21:26
  • 福うさぎ

専門家の知識を教えて頂き、楽しみにしています

  • 2020年12月21日 21:25
  • 福うさぎ

専門家の知識がわかり役に立ち
楽しみにしています

  • 2020年12月21日 17:37
  • DAISY

大変だ。夜中勉強する子供に教えてやらなきゃ。早寝早起きして頑張れば良いんですよね。とても役に立つ情報を載せてもらってありがとうございます。

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