2021年04月26日
花か?料理か?
じゅずつなぎコラム

愛知淑徳大学 教授 / 管理栄養士
東山幸恵
春を代表する花、梅と桜。すっかり季節は終わりましたが、今年は静かに楽しまれた方も多いかと思います。
梅か桜か、と言われると、私は梅が好き。桜はあまりに華やかで、かつ、満開になったかと思うと1日の雨ではらはらと散ってしまう。天気予報を気にしながら、見逃してなるものかと焦る一方、梅は冷たい季節からつぼみをつけ、長い期間をかけて膨らませる。冬を越えた凛とした風情に加え、ゆったりとした見ごろの長さに梅の魅力を感じます。

父の好みもあって、我が家には小さな白梅が植わっていました。
昭和世代の私にとって幼児期の外遊びといえば、ゴム飛びか、ままごとが主流。見立ての名人である子どもの手にかかると、泥だんごはおにぎりになり、雑草はサラダになり・・・、アウトドアのままごとは何かと想像力豊かなものでした。
事件が起きたのはその時でした。「白いご飯」の素材を探していた私の目に入ったのは、父の大切にしている白梅。「いいもの、見ぃつけた!」冷たい冬を超え、まさに春を告げるべく膨らませ始めた白梅のつぼみは、炊き立てご飯にぴったりだったのです。
指でしごいてつぼみをポロポロっと取り、お茶碗に入れて、またしごく。まさに「梅ご飯」のできあがりです。
いつもの泥のおにぎりとは違い、白梅のかぐわしい「白い大盛りご飯」を堪能したことを報告したときの、父の表情が忘れられません。
花がご飯になった悲劇とは逆に、ご飯が花になることもあります。
先日、辛子和えでも作ろうと買ってきた菜の花をボールにつけておいたら、つぼみがそのままほころんで、黄色い菜の花が次々と咲き、食べるのをやめて花瓶に移しました。
菜の花だけでなく、小松菜、カブ、キャベツ、ブロッコリー、大根、クレソン・・・、これらはすべてアブラナ科の植物で、放っておくと菜の花に似た美しい花を咲かせます。

花の美しさだけでなく、アブラナ科の野菜は栄養豊富なのも特徴です。
アブラナ科の野菜が持つ独特のツンとした辛味は「カラシ油配糖体(ゆはいとうたい)」によるもので、虫に食べられないよう自衛のために備えた"装具"です。しかし、この風味は私たちにとって逆に美味しく、さらには体にも良いという。
虫は追い払えても人を寄せ付けてしまうアブラナ科の戦略。花としても料理としても魅力的な野菜です。
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コンテンツへのコメント
- 2021年5月 2日 23:00
- kamifu
お父様はお叱りにならなかったんですね。
子供の独創性というか、何とも言えぬ突拍子もないことをする、ってある意味貴重で宝だと思います⸜( ˊᵕˋ )⸝
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- 2021年4月28日 21:32
- のん
毎年に菊菜を植えますが、一部を残して花を楽しみます。今年はサニーレタスとグリーンレタスがもう苦くなり食べられませんが、背が伸びてもうすぐ花が咲きそうです。
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- 2021年4月27日 22:48
- 菜々
香りのお花が大好きです。何年か前にほのかな香りの椿を買い鉢植えにしました。木も少し太くなり毎年ほのかなかおりで和ませてもらってます。梅林には行けなかったのですが桜の下で蜜を避けお弁当を楽しみました。来年は梅林に行きたいです。
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花も料理も魅力的ですよね!
アブラナ科の野菜はよく食べますが菜の花大好きです。黄色の花が元気にさせてくれますね。